こんにちは、Yatzです!
今回のケースの主役は高島屋。
1831年創業、京都の呉服店からスタートした、まさに老舗中の老舗。今でも日本を代表する百貨店の一つとして、その名前はしっかり知られていますよね。

あの頃の百貨店は強かった
1990年初頭の百貨店って、今では考えられないくらいの“主役感”がありました。
成長期真っ只中だった当時は、とにかく「モノがある」ことが重要で、百貨店に行けば“ちょっと良いモノ”が何でも揃うという信頼感があった時代。
週末のちょっとしたイベントやお出かけ先といえば、まず百貨店、という空気感もありました。
当然、そんな人気業態ですから、メーカーに対する交渉力も非常に強く、消費者・サプライヤー両方から選ばれる存在だったんですね。
…ということで、ここは定番の5Forcesを使って、環境分析をしていく流れで授業は進んでいきました。
百貨店を取り巻く外部環境の変化
さて、高島屋をはじめとする百貨店業界ですが、いくつかの大きな流れに直面することになります。
- 消費者の価値観が「高品質・高価格」から「コスパ重視」へシフト
- ユニクロなどSPAやファストファッション、アウトレットといった新しい競合の登場
- そして極めつけはECの普及による購買行動の変化
このトリプルパンチによって、百貨店業界は徐々に厳しい立場に追い込まれていきました。
高島屋の事業ポートフォリオと戦略意図
メイン事業はもちろん百貨店ですが、それだけでは立ち行かないという危機感もあり、不動産や金融(クレジットカードなど)へ多角化を進めてきたのが高島屋の特徴です。
ここで重要なのは、単なるリスク分散ではなく、ちゃんとシナジーを意識した多角化だという点。
たとえば…
- グループで保有する顧客データを活かしてマーケティングに活用したり、
- 建装や不動産系のノウハウを他社にも提供したりと、
“横のつながり”をしっかり見据えているのが好印象でした。
木本社長の戦略と意志決定
特に印象的だったのが、当時の木本社長による戦略の再構築です。
キーワードは、
- 「まちづくり」
- 「少資本・高付加価値」
この2つを軸に、既存の百貨店モデルを見直していく姿勢が読み取れました。
具体的には…
- 地域の価値を底上げする再開発型のまちづくり
- 自主編集売場やPB商品の強化による差別化
- 不動産・金融の収益基盤化による安定経営
そして個人的に注目したのが、合弁や外部リソースの活用です。
「新しいコンテンツを自前で育てるのは時間がかかる。足りないリソースは他社と組んだ方が早いし価値も出せる」
この木本社長の言葉に象徴されるように、“全部自分でやる”発想からの脱却が進んでいたのは、柔軟で合理的な判断だと感じました。
特に再開発案件では、東神開発などグループ内の知見を活かし、フル投資せずにリスクを抑えるアプローチも印象的でした。
高島屋ブランドは「無形資産」
百貨店という業態自体が高コスト体質であることもあり、その構造的な弱みを踏まえた上で、「高島屋というブランド」をどう活かすかに本気で向き合っている印象も受けました。
百貨店はこの先、生き残れるのか?
正直、「もう行かないよね、百貨店」っていう気持ち、共感する方も多いと思います。
でも、それを言ってしまうと話が終わってしまうので、少し建設的に考えてみたいところです。
例えば…
- 5Forcesで業界構造を見直す
- 3CやSWOTで自社のポジションを再点検する
など、使えるフレームワークは多いです。ここは読者のみなさん自身でも、「百貨店が生き残る道」を考えてみていただければと思います。
おわりに
今回の高島屋のケースから感じたのは、
「老舗だからこそできること」と、「老舗だからこその限界」のせめぎ合い
ということでした。
高島屋の今後には、個人的にも注目しています。ちなみに、
- 高島屋岐阜店:2024年7月末で閉店

- 高島屋堺店:2026年1月7日で閉店予定

…といったニュースを見ると、「頑張れ高島屋!」と応援したくなる反面、時代が大きく変わっている現実も痛感します。
百貨店という存在が、これからどんな形で社会に価値を提供していくのか。
今回のケースを通じて、時代の変化にどう対応していくのかを考えるきっかけになればと思います。
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