「ゴーイングコンサーンに必須」企業統治と企業倫理の授業のお話し

こんにちは!Yatzです。

名古屋商科大学MBA授業の備忘シリーズとして今回は「Corporate Governance and Business Ethics」の授業について記載します。

この授業は、企業統治と企業倫理(コーポレートガバナンス)を主題とし、実際の企業不祥事や社会的課題を題材としたケースを通じて、受講生が経営者の視点から問題解決と意思決定をシミュレーションする構成となっていました。
実例から正しいガバナンス体制やリーダーとしての姿勢をどうあるべきか深く考えさせられる内容でした。
また、「ESG投資」「司法取引」「児童労働」「環境事故」など多岐にわたる社会的課題にも触れ、企業と社会の関係性を改めて見つめ直す機会となりました。

と、普段あまり接点ないようなテーマなのでと、どうせガチガチの固い内容なんでしょとネガティブ寄りで授業に臨んだのですが、ふたを開けてみたらめちゃめちゃ重要でためになるし、企業を引っ張る立場であれば当然知っておくべき内容が満載でしたので満足度が非常に高い授業の一つでした。

目次

授業情報

授業の目的

この授業は、不確実な環境の中で企業が持続的に競争力を維持し、社会と共存していくために必要な「ガバナンス」「ビジネス倫理」「リスクマネジメント」の考え方を学ぶことを目的としています。実際の企業事例を通じて、倫理的課題や法的リスクに対する経営判断の難しさを体感し、意思決定の質を高めることが狙いです。

担当講師(当時)

この授業の講師は阿部博友(あべ ひろとも)先生でした。

略歴

三井物産で海外法務や監査などを経験後、明治学院大学、一橋大学で教授職を歴任。現在は名古屋商科大学ビジネススクール教授。一橋大学名誉教授。

Yatz

なかなか癖のあるタイプの先生でしたが嫌いじゃないです。是非、授業受けてみてください(笑

取扱いケース

授業を受けた感想(ダイジェスト版)

学びの備忘メモ(※個人的な意見が多分に含まれます)

授業冒頭に出た問い、「企業倫理とは?」「企業倫理は儲かるのか?」を出発点として、企業における倫理の位置づけについて多面的に学びました。

企業倫理とは?

企業倫理(Business Ethics)とは、企業が経済活動を行う上で正しいことの価値判断・行動基準のこと。法令を守るだけでなく、

  • 社会的に妥当かどうか
  • 持続可能性があるかどうか
  • 利害関係者(ステークホルダー)にとって正当か

といった観点も含めて考える必要があります。

企業倫理は儲かるのか?

【短期的】には環境対応や労働条件改善により、コスト増になることが想像できますが、
【中長期的】には、

  • ブランド価値向上
  • 優秀な人材の確保と定着
  • 顧客ロイヤルティの強化
  • 投資家評価(ESG投資)
  • 不祥事リスクの低減

よって、企業倫理は「短期的なコスト」ではなく「中長期的な投資」と捉えるべき。

コーポレートガバナンスとの違い

  • 企業倫理:行動の“正しさ”を問う
  • ガバナンス:不正を未然に防ぐ“仕組み”であり、競争力強化にもつながる

会社って誰のもの?

  • 株主の所有物ではなく、「社会の中でその存在が認められている法人」
  • 株主は“所有者”ではなく“支配権をもつ存在”
  • 法人とは、法『人』であり「人のようにふるまう存在」であり、人格のようなものは経営者の姿勢で決まる

つまり、会社は「モノ」ではない。「誰のもの」ではなく「誰のためのものか」を考える必要がある
社会に活かされて存在している以上、「社会のもの」と捉える姿勢が必要

企業倫理と人間倫理

  • 企業倫理:外に対して何をしたか(結果と実効性が重視)
  • 人間倫理:内面的な動機や意思(主体性が重視)

なぜ経営者は社会的責任を意識すべきか?

  • 経営は単なる利益追求ではなく、社会との信頼関係の構築が重要
  • 資源は有限であり、その「恵み」に感謝する視点が必要
  • ESG経営を通じて「社会の中で活かされている企業」であることを意識すべき

倫理は法の補完でもなく、お題目でもなく、「持続的に生き残るための戦略の一部」であるという認識が大切
成功して傲慢になる前に、常に自問自答する経営文化の醸成が必要です。

この授業で良かった点の感想

本授業の最も良かった点は、「企業倫理」という言葉が単なる建前やスローガンではなく、経営の本質であると腑に落ちたことです。

「企業経営でめっちゃめちゃ重要ですやん!」

今回学んだことは個人的な行動指針にも好影響となるのは間違いないですが、単なるコストや一歩間違えば機会損失につながる足かせと見られがちな倫理観が、実は中長期で見れば企業価値を支える“戦略的投資”であることがケースディスカッションを通じて実感できたことはかなりの収穫でした!

時代が時代とはいえ、トヨタの品質問題、オリンパスの会計不祥事、ネスレのブランド危機など、すべての事例が「倫理なき経営」のリスクを如実に物語っていましたね。

また、「会社は誰のものか?」という根源的な問いに対して、「誰の“ための”存在か」を考える視点は新鮮で、ESGやステークホルダー資本主義といった現代的なテーマにも自然と接続されており、実務に直結する知識として定着しました。

「正しいことを、正しくやる」ためには、価値観や信頼、持続可能性という“見えにくい資産”こそが競争力の源泉である。そんな本質的なメッセージが全編を貫いており、まさに経営者としての思考体力を鍛える場だったと感じています。

参考図書

特に指定はありませんでしたが、授業中に出たものとして、下記がありました。
ただ、なんでおすすめされたのかは覚えていません。

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この記事を書いた人

いち40代サラリーマンの「もがき」、ここにあります。
上からは無茶ぶり、下からはZ世代の鋭いツッコミ──そんな板挟みの日々を送る、しがない中間管理職です。
「50代こそ、きっと人生の黄金期になる」と信じて、今日もなんとか踏ん張っています。

これまで、新規事業の立ち上げから、事業計画の策定、M&AやPMIまで、実務を通じて経験してきました(いずれも3〜7年ほど)。

実務の現場で感じたこと、学んだこと、そしてちょっとした愚痴まで、共感いただけるあなたに届けたいと思っています。

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