Day1はウォルマートおよび高島屋のケースをもとに意思決定について検討しました。
Amazon2016 vs ウォルマート
あの絶対王者ウォルマートに、じわじわと迫って時価総額でも上回っちゃったAmazon。まさに「王者交代の瞬間か!?」というタイミングで、ウォルマートに打てる手はあるのか?というテーマで、5Forces(5Forthじゃなくてね…)を使って議論してみました。
まずは両者の紹介から。

ウォルマートはご存じ、アメリカ発の世界最大の小売企業。「Everyday Low Price」で有名だけど、それ以前に地方の小規模市場を狙って大手とぶつからずに地盤固めしてきたのがデカい。物流とITでコストもオペレーションも徹底的に磨いて、最終的には都会にも出て行って覇権を取ったと。
日本では例えば、「コスモス薬品」がまさにウォルマート的な戦い方してるなーって思ってます。

続いてAmazonさんです。Amazonは元は書籍のネット販売から始まって、今や何でも屋+クラウド王者。創業者のジェフ・ベゾスの「アイデアはナプキン1枚に書けるべき」っていう名言と、会議室にある“空の椅子”(=顧客目線)が有名ですね。(なんか、ワンピースのイム様みたいですが。)
Amazonの成長は、ニッチ市場からしっかり顧客と関係を築いて、レコメンドや物流といったプラットフォームを地道に育てたことが大きい。そして、代金先回収でキャッシュフロー強いのも地味に強い。
あと忘れちゃいけないのがAWS。これが今のAmazonの大黒柱。ベゾスが早い段階でクラウドに投資したの、本当に先見の明ありすぎ。
当時ウォルマートがAmazonに負けた理由
5Forcesで分析しようって話だったけど、まぁ分析フレームどうこうよりも大事なのはココ。
- ウォルマートはアマゾンを見てたけど
- アマゾンは常に「顧客」を見てた
この視点の違いがデカかったと思います。でもわたし、これは間違っていないと思っています。
というのも、業界1位のウォルマートは当然、模倣化で2位以下の戦略を潰していくわけですので、この視点はポーター先生的にも正しいわけです。
むしろ今回の失敗は、
顧客ニーズの多様化(=ネットで簡単に買いたい&ネット普及のスピード感 ≒ Amazonの成長スピード
ここを甘く見てたのが致命的だったのかなと。自分たちの店舗とカニバルリスク、いわゆる“イノベーションのジレンマ”ってやつも見立てを曇らせたことに影響してそうですね。
俺がウォルマートのCEOだったらどう挽回するか…
…って、そんなこと言うなら俺をCEOにしてくれ!と言いたいけど(笑)
でも現実的にはこんな感じですかね。
- もうAmazon見習ってデジタルシフト、オムニチャネル化を徹底する!
- 実店舗の強みを活かして、地域密着+クロスセル(医薬品・生鮮食品の強化、店舗受取&宅配サービス)
プライドは一旦置いといて、素直にできることからやる。革新は一朝一夕でできないからこそ、足元から着実にいくしかないです。
Amazonが今後も伸びるためには?
…だから俺を(以下略)
真面目に考えると、
- PrimeやMusicなどのプラットフォームをもっと充実
- 医療・保険・教育・決済などへの拡張
- 新興国向けの物流・ITインフラ整備
- ESG投資への取り組み強化
あたりがカギになると思ってます。授業でどんな意見が出たか全くメモされていない自分にびびってます。
問いではないですが・・・ちなみに5Forcesって実務で使ってますか?
私自身、正直実務では今まで一度も使ったことないです(笑)
『フレームワークを使いこなすための50問』にも書いてある通り、「業界構造を見て、どうやって儲かるかを探る」ための分析ツールなんですけど、日本だと成熟業界ばかりで、結局“ありきたりな結論”にしかならない。
実務では「自社がどう勝つか?」を具体的に考えられるフレームの方が使いやすいなーってのが本音です。
未来もバラは鮮やかか?高島屋2016
続いてのケースの主役は高島屋です。1831年創業の老舗中の老舗。京都の呉服店から始まって、日本を代表する百貨店として今も名前はバッチリ通ってます。

1990年初頭。あの頃の百貨店って、ホントに強かったですよね。まさに時は成長期。なので、大事なのはモノがあること。百貨店に行けば何でも揃ってるから「ちょっと良いモノ」って言ったらまず百貨店、っていう感じで週末のイベントはとにかく百貨店に行くことという空気感がありました。
そんな時代背景もあって、百貨店はお客も絶えないし、当然メーカーに対しても交渉力がめちゃくちゃ強かった。
…ってことで、ここはお決まりの「5Forces」を使って、環境分析しときましょう。の流れで授業は進みました。
さて、そんな高島屋を含む百貨店業界ですが、
- 消費者の価値観が、「高価格・高品質」→「コスパ重視」に変化
- 多様なニーズに合わせた、多様な競合(ユニクロなどのSPAやファストファッション、アウトレットなど)の登場
に加え、
- 極め付きのEC購買の促進
この辺の流れで、高島屋含め百貨店業界はジリ貧になっていったわけですね。では、当日に議論した問いについて備忘的に記載していきます。
高島屋の事業ポートフォリオと戦略意図を考える
メインはもちろん百貨店事業。ただ、それだけじゃ心もとないので、高島屋では不動産とか金融(クレカなど)にも手を広げて、多角化してるって話ですね。
これって単なるリスク分散だけじゃなくて、ちゃんとシナジーを狙ってるのがポイント。
- グループで保有する顧客データを活かしてマーケティングに活かせる
- 建装や不動産系は、百貨店運営のノウハウを自社内だけでなく他企業向けにも展開できる
…と、ちゃんと「横のつながり」を意識してるのは好印象。
当時の木本社長の戦略変更とその理由
この辺り、やっぱり「まちづくり」や「少資本・高付加価値」をキーワードに、事業構造を見直してきたってのが大きなポイントですよね。
具体的には…
- 地域全体の価値を底上げする「まちづくり」路線
- 自主編集売場やPB商品の強化(言ってみりゃ“差別化”)
- 不動産や金融を柱に据えて“収益の安定化”
といったことの記載がありましたが、それより注目したいのが「合弁・外部資源の活用」。要は、自前で全部やるより、他社と組んだ方が資本も少なく効率的に進められるよねっていう柔軟な判断。
たとえば、
「新しいコンテンツを自前で育てるのは時間がかかる。足りないリソースは他社と組んだ方が早いし価値も出せる」
っていう木本社長の言葉が、それを象徴してますよね。再開発案件では、東神開発とかグループ会社の知見をうまく活かして、フル投資せずにリスク分散してるのもポイント高し。
百貨店はずっと高コスト構造だったので、いろいろ思うところはあったんでしょうね。
ここでは無形資産の「高島屋」というブランドをいかに活かすか、というところに本気で向き合ってる印象です。
百貨店はこの先、生き残れるのか?
これに対して、「無理でしょ、だってわたし行かないもん」って言いたくなる気持ち…わかります。でも、まぁそれ言っちゃうと身も蓋もないので(笑)、もう少し建設的に考えてみましょう。
この手の議論だと、
- 5Forcesで業界構造を分析するのもアリ
- 3CやSWOTで自社と市場を見つめ直すのもアリ
いろいろなフレームワークが使えると思います。ここはぜひ、みなさん自身で「百貨店が生き残る道」を探ってみてください。
全体として、「老舗だからこそできること」と「老舗だからこその限界」の間でどう動くか、って話だと思います。高島屋の今後、個人的にもけっこう気になってます。ちなみに、

高島屋岐阜店(2024年7月末閉店)

高島屋堺店(大阪府):2026年1月7日閉店予定
頑張れ!高島屋!と思うほど、思い入れはないですが百貨店は時代の象徴の一つなので、ケースで学んだこともあり、時代へどのように迎合していくかは注目したいと思います。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] Day1 業界競争分析 […]